CLR/径比1未満へ ―極限の曲げ半径が拓くパイプ加工の可能性―

Small Bending Radius

狭い空間も美しいデザインも
― 小さな曲げ半径が広げるパイプ設計の自由 ―

寸法、デザイン、幾何学的な要件——パイプ曲げで「最小の曲げ半径」を実現できることは、大きな武器になります。曲げ中心半径(CLR)と直径の比が1を下回るような極端な曲げは、高い技術的ノウハウがあってはじめて可能になります。どんなときに役立ち、どう実現するのかを見ていきましょう。

Contents
  1. パイプ曲げを難しくする技術的パラメータ
  2. 曲げ半径を小さくするために、パイプベンダーに必要な条件
  3. 曲げの難易度比(DR)の計算方法
  4. 最小曲げ半径の実例と、その用途
  5. まとめ

パイプ曲げを難しくする技術的パラメータ

鋼・アルミ・銅など、金属パイプの曲げの可否には、複数の技術的パラメータが影響します。

まず押さえたいのが、パイプの曲がりを特徴づける純粋に幾何学的な要素です。肉厚と直径、曲げ中心半径(CLR)、そして曲げ角度。これらの大きさが、曲げを作るうえでの第一段階の「難易度比」を決めます(次の章で詳しく触れます)。

パイプ曲げの主要な幾何パラメータ:OD・WT・CLR・BA
パイプ曲げの主要な幾何パラメータ。OD(外径)、WT(肉厚)、CLR(曲げ中心半径)、BA(曲げ角度)。

もちろん、曲げられるかどうかは難易度比の計算だけで決まるわけではありません。曲げ角度、部品の幾何学的な複雑さ、工具要素や機械の曲げヘッドのサイズ、パイプベンダーの曲げ方向(右勝手・左勝手、あるいは同一サイクル内での左右両勝手)、特殊工具や特別な機械サイクルの有無など、多くの要素を考える必要があります。

純粋な幾何学の範囲を超えて——とくに難易度比の高い曲げを語るときは——パイプの材料、潤滑の種類、そして曲げトルクや押し力といったパイプベンダーの特性も考慮しなければなりません。

曲げ半径を小さくするために、パイプベンダーに必要な条件

大幅に小さな曲げ中心半径を実現できるパイプベンダーとは、パイプ材料の変形を完璧にコントロールできる機械です。これは、曲げ工具の各要素の動きと、それがパイプに生む力を、絶えず制御してはじめて可能になります。

BLM GROUPのフルエレクトリック・パイプベンダーなら、これらのパラメータをより良くコントロールできます。とくに難易度比の高い曲げを作る際には、曲げサイクル中に次の要素を管理できます。

  • マンドレル(芯金)の位置
  • クランプダイの圧力
  • パイプ送りの押し力
  • プレッシャーダイの押し力と動き

これらをはじめとするパラメータを巧みに操ることで、パイプ曲げの特別な経験がなくても、極限レベルの曲げを扱えるようになります。

さらに、曲げたパイプにしわや欠陥が生じた場合も、VGPNextを通じて、どのパラメータを変えれば解消できるかをオペレーターが知ることができます。

曲げの難易度比(DR)の計算方法

パイプ曲げの難易度比(DR)は、曲げを作る難しさを純粋に幾何学的な観点から推定する指標です。「パイプ直径の2乗 ÷(肉厚 × 曲げ中心半径)」で定義されます。

DR = OD² ÷ (WT × CLR)

OD=外径 / WT=肉厚 / CLR=曲げ中心半径

難易度比の数値的な目安として、DR=8 は「通常レベルで難しい曲げ」にあたります。傷・しわ・わずかな欠陥も出さないためには、マンドレルとワイパーダイの使用が必要になる水準です。

BLM GROUPは、60年以上にわたるパイプ加工の経験の中で、さまざまな産業分野で使われる最小曲げ半径の曲げを実現するノウハウを培ってきました。次の章では、特に興味深い用途を、それぞれの難易度比とともに紹介します。

最小曲げ半径の実例と、その用途

最小曲げ半径で曲げたパイプの実例と用途
最小曲げ半径で曲げたパイプの実例と、その用途分野。

1. カーエアコン用コンポーネント(自動車分野/DR=29)

エンジンルーム内の限られたスペースでは、最小の曲げ中心半径を持つパイプ部品を使うことで、スペースの制約を守りつつ、設計者が指定するレイアウトに正確に沿わせることができます。

DR=29 直径18mm・肉厚1mm・曲げ中心半径11mmのパイプ
DR=29。直径18mm・肉厚1mm、曲げ中心半径11mmのパイプ。

2. 排気コンポーネント(バイク分野/DR=43)

車両の空力性能を保つため、排気コンポーネントはシャシーが許す限られた空間に収まる必要があります。

DR=43 直径52mm・肉厚1.5mm・曲げ中心半径42mmのパイプ
DR=43。直径52mm・肉厚1.5mm、曲げ中心半径42mmで曲げたパイプ。

3. デザイナーズスツールの脚部(家具分野/DR=67)

極端に小さな曲げ中心半径は、溶接継手のない、美しく革新的な形状を生み出します。デザイン性が高く、仕上がりの美しさも格別です。

DR=67 直径110mm・肉厚2mm・曲げ中心半径97mmのパイプ
DR=67。直径110mm・肉厚2mm、曲げ中心半径97mmで曲げたパイプ。

まとめ

小さな曲げ半径は、単なる技術的なチャレンジではありません。限られた空間への適合、溶接のない一体成形、そして自由なデザイン——自動車・バイク・家具と、幅広い分野で製品の価値を高めます。

その実現を支えるのが、変形を完璧にコントロールできるフルエレクトリック・パイプベンダーと、VGPNextのような賢いソフトウェアです。難易度比(DR)という物差しで曲げの難しさを見極めながら、経験に頼りすぎずに極限の曲げへ挑めます。パイプ設計の可能性を広げたいとき、小さな曲げ半径は心強い選択肢になります。

Contact
小さな曲げ半径の加工について、もっと知りたい方へ

「この部品は曲げられる?」というご相談も大歓迎です。BLM Group Japanが運営するパイプ加工機選定ナビへお気軽にお問い合わせください。実機見学・テストカットサービスも承っています。

お問い合わせ・資料請求

BLM GROUP 日本サポート 公式メールマガジン(無料)

パイプ加工の最新事例を、月1回お届けします

パイプ加工機メーカーの担当者が、現場で役立つ情報をまとめてお送りします。

  • 最新の導入事例と加工サンプル
  • 機械選びで失敗しないためのポイント
  • 展示会・内覧会・補助金のご案内

製造業の方を中心に300名以上が購読中