2035年に倍増する航空宇宙市場へ ―フルエレクトリック曲げが拓くパイプ加工の最前線―

Aerospace Tube Bending

不良ゼロで極限公差を満たす
― 航空宇宙のパイプ曲げを支える主要技術 ―

高価な材料、年間わずか数個というロット、そして極限まで厳しい公差。航空宇宙分野のパイプ曲げは、加工のなかでも特に繊細な工程です。幾何精度・外周の肉厚・表面仕上げを守りながら、いかにスクラップをゼロに近づけるか。その鍵となる技術要素を整理します。

市場規模はおよそ4,000億ドル、2035年には倍増するとも言われる航空宇宙分野は、いま最も注目される産業のひとつです。航空需要の着実な増加、宇宙経済の発展、そして近年高まる防衛用途の需要が、その成長を後押ししています。

航空宇宙は、人と技術の限界をつねに押し広げようとする最先端分野です。それはそのまま、品質と信頼性に対する極めて厳しい要求となり、新しい材料・工程・技術ソリューションの開発を促しています。

Contents
  1. 航空宇宙分野におけるパイプ曲げ
  2. 曲げたパイプの幾何精度
  3. 外周(エクストラドス)― 品質を左右する重要因子
  4. 曲げ部の表面仕上げ
  5. まとめ

航空宇宙分野におけるパイプ曲げ

航空機・ロケット・ヘリコプター・ドローンなどに使われるすべての機械部品と同じように、パイプ部品にも高い要求が課されます。流体の輸送用としても、構造材としても使われるこれらの部品は、機械的強度・信頼性・可能な限りの軽量性を同時に満たさなければなりません。

そのため使われるのは、特殊チタン合金・アルミニウム・ステンレス鋼といった、硬く軽い素材の薄肉パイプです。こうした素材の特性と、この分野の完成機メーカー(プライムコントラクター)が求める極めて高い品質基準が相まって、曲げは高度な技術を要する非常に繊細な工程になります。

曲げをうまく仕上げるには、いくつもの要素が関わります。なかでも重要なのが、部品の幾何精度を確実に出すこと、表面仕上げの品質を高く保つこと、そしてパイプの肉厚減少(thin-out)をミクロン単位でコントロールすることです。加えて、使う材料が高価なため、材料のムダをゼロに近づけることが絶対条件になります。

航空宇宙分野では、切断と溶接の両方で、レーザー技術の活用も広がっています。

フォームフィッティング工具による薄肉パイプの曲げ
フォームフィッティング工具による薄肉パイプの曲げ。

曲げたパイプの幾何精度

航空宇宙分野では、完成部品の精度は当然の前提です。けれども本当の競争優位は、その精度をできる限り少ない不良で達成できるかどうかにあります。加工する材料が非常に高価なうえ、生産ロットが極端に小さく、場合によっては年間わずか数個ということもあるからです。

ここで差がつくのが、BLM GROUPの幅広いパイプベンダーです。最新のドライブを備えたフルエレクトリックマシンが、100分の1(センチメートル級)の軸精度と、部品変形の完璧なコントロールを実現します。

そして鍵を握る要素のひとつが、ソフトウェアです。パイプ曲げプログラミングソフト「VGPNext」は、すべての曲げパラメータをパートプログラムと一緒に保存し、材料の伸びとスプリングバックを自動で予測します。これにより、正しい部品を得るまでの試作とスクラップを大きく減らせます。

クイック工具交換システムと組み合わせれば、段取り替えが簡単になり、誤差の余地が減り、高い精度と再現性を保てます。こうして、楕円化(オーバリング)・曲げ形状・工程能力Cpkといった観点で求められる公差を、しっかり満たすことができます。

航空宇宙分野の燃料パイプ
航空宇宙分野の燃料パイプ。

外周(エクストラドス)― 品質を左右する重要因子

曲げたパイプの「エクストラドス(extrados)」とは、曲げの外周部、つまり曲げ加工中に最も引き伸ばされる部分のことです。航空宇宙向けのパイプでは、使われる素材が硬く、肉厚も薄いため、この部分の健全性がとりわけ重要になります。

プライムコントラクターは、外周の肉厚減少に極めて低い許容値を求めます。これはメーカーにとって大きな負担となる要求です。肉厚減少を抑えるにはいくつかの方法がありますが、いずれもパイプに接するすべての工具要素を細かく調整できる、最先端のパイプベンダーが必要になります。

同じく重要な役割を担うのが、マンドレル(芯金)です。航空宇宙用途では、変形時にパイプ内側を最大限に支えるため、潤滑を最適化したマルチボール式マンドレルが通常使われます。

航空宇宙向けの曲げ外周の測定
航空宇宙向けの、曲げ外周(エクストラドス)の測定。

曲げ部の表面仕上げ

航空宇宙用途のパイプにとって、曲げ部の内外面の表面仕上げは重要なパラメータです。肉厚が薄く、振動・高温・圧力といった過酷な使用条件にさらされるため、わずかな表面欠陥が亀裂や破損の引き金となり、安全に直結します。

だからこそプライムコントラクターは、極めて厳しい粗さ公差を求め、クランプ痕・傷・へこみがないこと、そしてその深さに非常に厳しい上限を課します。

BLM GROUPは、航空宇宙メーカーに最先端のパイプベンダーを提供しています。フルエレクトリックマシンには、曲げ中の緻密な材料ハンドリングのための専用機能が組み込まれています。すべての工具要素の電動制御や、モジュール式のクランプトルクにより、パイプにかかる力を動的に調整できます。

さらに、より繊細なケースでは、特殊素材の工具を使い、傷やへこみを残さずにパイプを滑らせることも可能です。目指すのは、指や爪でなぞっても欠陥を感じ取れないほどの表面仕上げです。

表面粗さを最小限に抑えたパイプ曲げ
表面粗さを最小限に抑えたパイプ曲げ。

まとめ

精度・品質・信頼性が不可欠な航空宇宙分野では、パイプ曲げに最小限の不良・試作で狙った結果を出せる先進技術が求められます。

BLM GROUPのフルエレクトリック・パイプベンダーは、曲げ工程を完全にコントロールし、手動調整を一切なくすことで生産の立ち上げを簡単にします。さらに、AIアルゴリズムに支えられた強力で直感的なプログラミングソフト「VGPNext」が加わることで、生産効率の向上・スクラップの排除・業界最厳の公差への対応を同時に実現します。

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