安い機械が、本当に得ですか?――複雑なパイプアセンブリ製造の全体像

Pipe Assembly / Optimization

部品点数に縛られない生産へ。
― パイプアセンブリ製造の全体最適

複雑なパイプアセンブリの製造で最適な方法を決めるには、工程の一部だけでなく”全体像”を見ることが重要です。旧式設備と最新設備を、具体的なサイクルタイムで比較します。

製造業は、工程の無駄を省きコストを削減する方法を常に考えています。パイプアセンブリを構築するために複数のパイプが必要な場合、その課題はより顕著に。パイプ加工業者が直面する最も厄介な課題の1つが、パイプ部品の接合です。はめ込み・固定・組み立てに困難が伴うことが多く、特に曲げ加工後にコーピングやミッタリングなどの二次加工が必要な場合、その傾向が顕著です。

例えば、ある高級フィットネス機器メーカーが新しい有酸素運動用製品(ここではSTEPと呼ぶ)を開発した場合を考えます。この製品は、長さの異なる9本のステンレス鋼管(1本のメインパイプと8つの個別部分)で構成される複雑なアセンブリで、曲げパイプの側面にコープパイプの端部を溶接する必要があります。工場には、機械加工賃の低い旧式技術と最新のパイプ加工装置の両方があり、最も費用対効果の高い方法を決める必要があります。

Contents
  1. 旧式設備で製造する場合
  2. パイプレーザーで簡素化する
  3. CNCベンダーで曲げる
  4. 全体像で判断する

旧式設備で製造する場合

旧式の設備を使う場合、9本のパイプを指定された形状に個別に加工する必要があります。曲げ加工の総時間は約3分(表1)。曲げが終わると、パイプを複雑な冶具で固定し、フライス盤とマイターソーの工程へ。9つのパーツを加工し製材するのに約4.4分かかります(表2)。

はめあいを最適化するにはより複雑な冶具が必要となり、冶具のコストが増加。時間当たりの機械コストは低くても、この方法では労働時間と材料消費量が増え、アセンブリ1個当たりのコストが高くなる可能性が高いのです。

表1:旧型ベンディングマシンのサイクルタイム解析
表1:旧型ベンディングマシンによるサイクルタイム解析。
表2:Coping&Miteringのサイクルタイム解析
表2:Coping&Mitering加工のサイクルタイム解析。

パイプレーザーで簡素化する

新しい機械で部品を生産する場合、パイプレーザーシステムから始めるのが最も効果的です。アセンブリCADモデルをパイプレーザープログラムソフトにインポートし、9本のパイプに個別に分解して、それぞれの切断フィーチャーを特定できます。アセンブリソフトはパイプの組み合わせに基づいてネストを作成し、この例では複雑なアセンブリが9本から3本の材料に最適化されます。プログラマーはマウスを数回クリックするだけで、タブ・スロット・マイクロタブを追加してアセンブリを素早く最適化し、組み立てを簡素化し、必要な固定具を最小限に抑えられます。

部品同士をつなぐタブやスロット
部品同士をつなぐタブやスロットを組み込むことで、最終的な組み立て工程を簡略化し、部品のフィット感を向上させられます。

切断の前に、コーピングと曲げ加工の一部として、伸びやスプリングバックなどの変数を考慮する必要があります。旧式装置では、既知の長さのステンレス鋼サンプル棒から浅い・中程度・深い曲げを組み込んでプログラムを作成し、曲げたサンプルを測定して、成形中にどの程度スプリングバックやストレッチが発生するかを特定します。部品の公差が重要な場合は、材料バッチが変わるたびに評価を行い、補正の必要性を正確に把握する必要があります。

※ VGP3Dプログラミングソフトによるパイプ曲げ加工の簡素化は、別記事「VGP3Dが変えるパイプ曲げ加工/11の問題と解決」で詳しくご紹介しています。

曲げたサンプルの測定
曲げたサンプルを測定し、成形時にどの程度スプリングバックやストレッチが発生するかを特定する。

このデータは、パイプレーザーとベンダーの両方のソフトウェアで使えるように保存されます。パイプレーザーのオペレーターは、これらの伸縮・スプリングバック特性を切断プログラムに組み込み、各パイプが適切な長さに切断されるよう自動的に補正。これで材料は3つの長さに切断でき、所要時間は約1.5分(表3)。鋸で切断する場合と比べて、生産性は約3倍向上します。

表3:レーザーパイプ切断のサイクルタイム分析
表3:レーザーパイプ切断加工のサイクルタイム分析。部品は完全な棒状の材料から切断されるため、部品点数はもはや乗算要素ではありません。

CNCベンダーで曲げる

切断から、パイプは曲げ工程へ。これはCNC制御の全電動式多軸パイプ曲げシステムで最も効果的に行えます。元のCADモデルをパイプ曲げのプログラミングソフトに取り込み、補正データをプログラムに合成。加工する部品は9つですが、いまは3本の棒状の材料だけです。曲げ加工プログラムを順番に実行することで部品は順次生産され、STEPアセンブリに必要なすべての部品が得られます。3本のパイプを加工するサイクルタイムは1.6分(表4)で、生産性は2倍に。最小限の労力で、各コンポーネント間のマイクロタブを壊して個片化し、次の製造段階に備えられます。

表4:パイプ曲げ工程のサイクルタイム分析
表4:パイプ曲げ工程のサイクルタイム分析。※部品は完全な棒状の材料から切断されるため、部品点数はもはや乗算要素ではありません。
ソフトウェアにインポートしたSTEPモデル
機械プログラミングソフトウェアにインポートされたSTEPモデル。

つまり、マテリアルハンドリングとフィクスチャリングに必要な時間を除けば、全体の処理時間は7.4分から3分強に短縮されます。たとえ新しい装置の機械加工賃がもっと高くても、時間と労力が節約されれば、アセンブリ1個あたりのコストはもっと低くなるのです。

全体像で判断する

STEP完成品
STEP完成品。

複雑なパイプアセンブリの製造に最適な方法を決める際には、全体像と全体的な影響を検討します。時間当たりの加工費が低い旧式の機械は、短期的にはコスト削減を達成できるかもしれませんが、長期的には製造コストの総額が高くなることが予想されます。機械・CNC制御・オフラインCAD/CAMソフトウェア機能の進歩により、メーカーはより優れたプロセス制御・生産性・材料利用率を実現し、ひいては収益性を高められます。

工程単位ではなく、全体最適で。複雑なパイプアセンブリの最適な作り方を、一緒に考えます。

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