同じレーザーでも、
シートとパイプは“別物”です
なぜパイプ切断は“立体的に”難しいのか。パワー競争だけでは語れない、パイプレーザーの奥深さと進化を解説します。
レーザー切断と聞くと「出力(パワー)が大きいほど良い」と思われがちです。でもパイプ切断の世界では、パワーの数字だけでは語れない難しさがあります。まずは板金(シート)の世界から見ていきましょう。
板金(シート)の世界
今では、10kW、さらには12kWの発振器を備えたシートレーザー切断システムも珍しくありません。切断できる鋼(や他の金属)の厚さは30〜40mmほどに達します。※それ以上になるとレーザー切断の出番は限られ、別の方法が使われます。
パワーが大きいほど作業速度が上がり、生産性が向上し、結果として部品あたりのコストが下がります。ただし、パワーと生産性の伸びは一直線ではなく、実のところ技術的な必然というより、マーケティングの色合いも帯びてきています。
パイプとシートは、まったくの別物
シートからパイプに目を向けると、メーカー間の“記録数”競争はぐっと少なくなります。理由はシンプルで、パイプはシートではないから。同じレーザーでも、切断の難しさがまるで違うのです。
| シート切断 | パイプ切断 | |
|---|---|---|
| 切る材料の下は | 受動支持面(空間) | まだワークの一部(反対側の面) |
| パワーの扱い | 全パワーを穴あけに“発射”できる | 反対側への熱影響を避ける制御が必要 |
| 難しさ | 比較的シンプル | 立体物ゆえに複雑 |
シート切断では、シートの下に“支えるだけの空間”があるため、光源のパワーをすべて穴あけに使えます。ところがパイプは立体物。レーザーで切った材料の下には、まだワークの一部である反対側の面があります。ここに熱の悪影響を与えてしまう危険があるのです。
さらに、ワーク全体が加熱されると切断の特性そのものが変わってしまいます。だからこそ高い生産性を出すには、出力が上がるほど、ますます洗練されたレーザー出力管理が欠かせなくなるのです。
パイプレーザーを生んだのは、BLMグループ
BLMグループ(特にグループの一員であるアジジェ社)が30年以上前に開発した最初のシステムから、最新のLASERTUBEモデルまでの進化には、目を見張るものがあります。
なぜ、レーザー切断は選ばれるのか
自動化は生産性を高めます。近年はカスタマイズ需要の高まりで生産ロットが小さくなり、できるだけ短い時間で次の生産に切り替えられることが重要になっています。
鋼合金、アルミ合金、銅や真鍮――材料の厚さやプロファイルが大きくばらついても、パイプレーザーなら簡単に切断できます。最も多様な分野で使われていることが、この技術の成功を物語っています。30年以上を経てなお、革新的な技術と考えられているのです。
初期投資は決して小さくありません。それでも、達成できる生産性に、エネルギー効率の向上やメンテナンスの軽減といった要素を加えれば、多くの現場がレーザーを選び、高く評価している理由が見えてきます。
そして、これからどうなる?
近い将来、何が期待できるのでしょうか。エネルギー効率はまだ改善できるのか。より低い出力で、より厚い材料を切れるレーザーは生まれるのか――。
大きな流れは、レーザー自身の“自動調整”がますます進む方向です。切断する材料の特性をリアルタイムで測定・考慮するだけでなく、その動作結果を自ら評価し、生産コストの削減や予防保守のロジックまで統合していきます。BLMグループはこうした分野で、短期的に可能な最高の技術を提供すべく、多くのプロジェクトやコラボレーションを進めています。
まとめ
シートとパイプは、同じレーザー切断でも中身はまるで違います。立体物であるパイプを美しく切るには、単なるパワーではなく、繊細な出力管理と自動化の技術が不可欠です。BLMグループはその最前線を30年以上走り続けてきました。
大切なのは、パワーの数字ではなく立体を切りこなす“技術の質”です。

